日曜日, 7月 28, 2013

奥多摩・海沢遡上:下流域から中流域へ

二度に渡って歩いた海沢遡上のメモ。初回は単独行で下流域から中流域の「天地沢出合い」の先まで。二度目は元同僚と中流域から入渓し海沢園地まで沢を歩き通し、中流域をクリアした。単独行では極力釜(淵)泳ぎを避け、高巻を繰り返し撤退の戻り道でスリップし釜にドボン。ヘルメットに当たる落石音を初めて体験した。二度目の遡行はパートナーもいるので安心して釜を泳ぐ。海沢は滝や釜(淵)の連続する、誠に面白い沢であった。


初回;奥多摩駅>海沢集落>柿平橋>東京都奥多摩魚養殖センター>城山トンネル>一付橋>アメリカ村キャンプ場>海沢トンネル>駐車スペース・入渓点>天地沢出合>木橋>林道>長い淵で撤退

二回目;白丸駅>数馬渓遊歩道>海沢集落>海沢中流域入渓点>最初の淵>釜のある小滝をへつる>ヘアピン状のゴルジュ>3mの滝>釜をもつ小滝>長い淵>井戸沢出合>海沢園地東屋>奥多摩駅

初回: 下流域から中流域まで
とある週末,天気予報は酷暑。涼を求めて沢を歩くことにした。急に思い立って、といったことでもあり、沢は海沢とした。海沢であればJR青梅線の白丸駅、または奥多摩駅から1時間強と少々アプローチは長いが、ともあれ青梅線の駅まで歩けばいいわけで、帰りのバスの時間を気にしなくてもいいのが魅力である。
海沢の渓谷は、その上流部には海沢探勝路に沿って大滝とか、ネジレの滝とか、三段の滝と言った名瀑がある。もちろんのこと、なんちゃって沢登リストの我が身には誠に敷居の高い上流部であるが、あれこれ沢のガイドブックを見るに、その中流域であれば、少々厳しそうではあるものの、何とかなりそう。ということで、初回は下見がてらの単独行。ひとり歩きの心細さ補うべく、ワークマンで買った2500円のヘルメットをリュックにぶら下げて奥多摩へと向かった。

奥多摩駅
当初の予定では青梅線の白丸駅で降り、多摩川右岸の数馬渓谷を辿り海沢へと考えていたのだが、ホリデー快速奥多摩号に乗れたため、白丸駅は素通りし奥多摩駅に。駅前のビジターセンターに寄り、「海沢ハイキングマップ」を手に入れる。手書きの簡易地図だが、ポイントはすべて載っており、誠に助かる。海沢はすぐ横に林道が通っているので道に迷うことはないだろうと、地図も持たずに来たのだが、よくよく考えれば、沢からエスケープしようとした時、地図がなければ林道が沢の右か左かもわからない。大いに反省。


海沢集落
奥多摩駅から多摩川に架かる「昭和橋」を渡り、多摩川右岸を進む「都道184号」を進み「東長畑橋」先で「愛宕トンネル」からの道を合わせ、「綾瀬橋」を渡り国道411号の「海沢大橋交差点」に続く四差路に。 四叉路を「都道184号」に沿って右に折れ、東京電力氷川発電所の導水管を跨ぐ「神庭橋」を越えて海沢に注ぐ支流にかかる「つきどめ橋」に。「つきどめ橋」の先は都道184号を真っすぐ進む道、右手の坂を上り海沢神社や向雲寺に向かう道、海沢川へと下る道と分かれる。

柿平橋
海沢川の多摩川合流域の姿でも見ようと坂を下り海沢川に架かる「柿平橋」に。東京電力氷川発電所脇辺り、すぐ先で多摩川に注ぐ海沢川は、この辺りでは小川。周囲に人家も多く、この辺りから入渓し、ピチピチチャプチャプランランランランは、さすがに憚られる。

東京都奥多摩魚養殖センター
再び坂を都道184号まで戻り道なりに進む。道の左手に海沢川に沿って「東京都奥多摩魚養殖センター」がある。ニジマス、イワナ、やまめ、奥多摩ヤマメの種苗を生産し、河川漁協、養殖漁協に配布している、と。養殖センターの中に海沢に架かる「緑橋」も見えるのだが、敷地に入ることはできないので、先に進むと「一寸橋」の手前に山塊を穿つトンネル工事が目に入る。「城山トンネル」の工事現場とのこと。

城山トンネル

「城山トンネル」は氷川の小留浦から吉野街道の丹三郎地区(古里交差点近く)までの7,2キロ区間で計画されている「多摩川南岸道路建設計画」の一環のトンネル。小留浦から長畑間(西端の愛宕大橋から愛宕トンネル、東長畑橋まで)は2001年に開通。2004年には国道411号につながる「海沢大橋」が完成。現在、この「城山トンネル(2.4キロ)」と、城山トンネル東出口と国道411号をつなぐ連絡橋(将門橋)が建設中。丹三郎地区へとつなぐ「丹三郎トンネル」は未だ着工されていないようである。

一付橋・入渓点
城山トンネルにつけられた「まこご橋(新一付橋)」を越え、都道184号の「一付(いつけ)橋」を渡る。一付橋の西詰には「アメリカ村」へ向かう道があり、海沢(以下海沢に統一)にはこの道を進むのだが、暑い林道を歩くよりも、どうせのことなら、この辺りから海沢に入り涼しく歩くことにした。滝も釜(淵)もあるとは思えないけれども、ピチピチチャプチャプランランランの気持ちである。

○ 都道184号
都道から離れて海沢に入ったが、「一付橋」の先に続くこの都道は「東京都道184号奥多摩あきるの線」と呼ばれ、奥多摩の氷川とあきる野市菅生を結ぶ一般都道である。地図を見ると、この一付橋から山道を蛇行し奥多摩霊園の先で切れている。一方、あきる野市方面を見ると、都道184号は日の出町を先に進み勝峯山脇の岩井の里を越え、つるつる温泉手前に進む。そこで左に折れて日の出山へと向かうが、道はその先で通行止め。日の出山近くから、奥多摩町の海澤までは、現在不通となっている。計画では御岳山を経由して青梅側に抜けることになっていたようである。
いつだったか、御岳山から日の出山を経てつるつる温泉まで歩いたときのこと、御岳から日の出山に向かう尾根道に鳥居があり、関東ふれあいの道となっていた。その尾根道は御岳への参道とのことであったが、この鳥居から御岳の集落までの尾根道は都道184号線とのこと。また、御岳の集落の中には都道184号線の最高地点(標高850m)がある。「氷川道」とも「鳩ノ巣路」とも書いてあった、よう。車道はないが、道自体はずっと通じているようではある。登山状態ではあろうが、一度どんな道か御岳から先を辿ってみたいものである。

アメリカ村キャンプ場
一付橋のすぐ脇から海沢に入り入渓準備しスタート。予想通りの誠にのどかな川遊びといった案配。川の右手には民家が建ち、少々気恥ずかしい。「寺沢橋」を潜り先に進む。たまに砂防用堰堤があるが、乗り越えて進むと「アメリカ村キャンプ場」。家族で水遊びをする水辺を通り抜けるのだが、周囲との違和感は最高レベル。足早にキャンプ場を抜けるとちょっと高めの堰堤があったが、なんとか手掛かりをみつけて乗り越える。
先に進むとまた堰堤。結構高くこれは迂回するしか術(すべ)はなし。右手が林道であるので、なんとか崖を這い上がり林道に。道脇には金網が張られてあり、金網が切れるところまで進み林道に出る。

海沢トンネル
林道を進みながら成り行きで再び沢に。滝も釜(淵)もない沢をのんびり進むと橋が見えてきた。そしてその先は釜と崖そして小滝が迎える。高巻きをしようにも手掛かりが見つからない。釜を泳ぐつもりもなかったので橋の手前を少々強引に林道に上る。橋の名は「観音橋」。その先にある海沢トンネル(海沢隧道)を抜ける。隧道を抜けたところに沢に下るパイプの梯子が組まれていたので沢に下り「せみの橋」を潜り先に進む。が、ほどなく堰堤に阻まれ結局パイプ梯子のところまで戻り林道に戻る。 因みに観音橋の西詰めに「瀬見ノ観音」さまが祀られる、とか。橋の辺りには何も案内も無かったので見逃した。「観音橋」であり、「せみ橋」と称される所以である。


駐車スペース・入渓点
林道を進む。沢に下りる場所を探しながら先を進むが、適当な場所がない。「坂下橋」を過ぎた先に林道が少し広くなり数台の車を停めている場所に到着。正確には車が停めて箇所が2カ所ほどあるのだが、「崖崩れのため通行止め」の案内がある上流側の脇に「水利へ」の案内があり、そこから沢に入る。

天地沢
入渓点の川原は広々として、脇ではテントを張る家族も見られる。川原を進むと右から「天地沢」が注ぐ、とのことだがそれらしき沢筋は見えない。注意しなければ見逃しそうな細い流れが岩を下っているのだが、どうもそれが天地沢出合のようだ。水量が豊富であれば滝として見栄えがするのだろう、か。

木橋
その先に木橋が沢を跨ぐ。朽ちているような危うい橋である。この木橋を渡り「天地沢」を詰めることができるようである。木橋の先には淵。結構深そう。泳ぐのは勘弁と右岸を高巻き。途中で進めなくなり、もうひとつ上の踏み跡を巻いてクリア。先に進むと釣り師。邪魔をするのを避けて、来た高巻きを戻り、入渓地から林道に。

林道を進むと「水利へ」の案内。二度目に海沢を上ったときの記憶から、ヘアピンカーブの先、3m滝の先に下りたように思う。先に現れた深い釜をもつ小滝は右岸を高巻き。左手にコンクリートの壁が見える。その先に長い淵が現れる。ここはアプローチを探すも高巻きする踏み跡はない。本日はここで撤退。

帰路に、高巻きで戻るときスリップし淵にドボン。滑る落ちるときヘルメットに当たる石の音を聞き、ワークマンで買ったヘルメットに感謝。また、上りはなんとか進めた崖も下りはとても進めない。ロープを崖上の木に巻き、なんとかクリア。基本装備の有り難さを実感し、本日の沢歩き、というか沢遊びを終えて林道を戻り、数馬渓谷の遊歩道を経由して白丸駅に。それなりに楽しい水遊びの一日だったが、結論としては海沢の「沢遡上」は、駐車スペースからの「水利へ」から入るべし、と。




2回目;海沢中流域
初回から1週間後の3連休の中日、元同僚から沢上りのお誘い。迷う事承諾し、場所は海沢を提案。初回の下見を踏まえ、沢上りと言う以上、入渓は海沢トンネルの先、駐車スペースのある先の「水利」標識からとする。

入渓点
青梅線・白丸駅で下車し、多摩川右岸の数馬渓を経て入渓点に。おおよそ1時間強歩くことになる。駐車スペースには本日も数台の車。釣り人だろう。放魚は基本、この入渓地点より下流に放流されるようであるので、邪魔をすることはないだろが、それでも先日は入渓点の少し上流で釣り師に会ったのが気になる。入渓準備を終えスタート。

最初の淵
入渓点の広い川原からスタートし、右手に天地沢出合いの崖からの細い流れを見やりながら朽ちた木橋を越え淵に出る。本日は酷暑。泳ぐ気十分。トップで淵を泳ぐ元同僚の後を追い、淵を泳ぎ右側の岩の辺りから淵を上がる。









淵を越えるとふたたび淵。少し長めの淵ではあるが、泳ぎきれば淵から上がるのは簡単そう。トップを泳ぐ元同僚からフローティングロープを流してもらい、安心して泳ぎきる。

天地沢出会いの上流に「暗闇淵」と呼ばれる淵がある、と言、う。昼なお暗い淵、大きな岩が横たわる難儀な淵である、とのこと。今泳いだ淵のどちらかが「暗闇淵」であろう、か。また、御嶽山参拝のため身を清めた「ショウジン淵」と称される淵もあるとのこと。「観音橋」の辺りの淵がそれであろうか。根拠はないが、それっぽい風情のある淵ではあった。

釜のある小滝をへつ
次に現れる大岩は結構激しい水流が下る。流木などを支えにして大岩をクリアし進むと釜のある小滝に。この小滝は左の岩を「へつる」ことになるが、ここが結構きつかった。パートナーのスリングの支えで何とかクリアしたが、後日右の人差し指が捻挫気味となっていた。藁にも縋る気持ちで岩に指をかけて体を支えようとしていたのだろう。





ヘアピン状のゴルジュ
釜のある小滝の先は「ヘアピン状のゴルジュ」。「ゴルジュ」とはフランス語で「喉」という意味。如何にも「喉」のように狭くなっている。切り立った岩壁に挟まれた苔生した岩肌が美しい。






3mの滝
前方が開け少し開けた場所の前には3m滝とゆったりと釜。景色を楽しみながら少し休憩いていると、賑やかな声が聞こえてきた。沢登り体験ツアーのパーティのよう。10人くらいのうら若い女性がやってきた。先に行ってもらおうとしていたのだが、どうも休憩を取るようで仕方なく進むことに。
トップの同僚が釜を泳ぎ、滝の水流の右の岩場をよじ上り、後に続く私はトップが下ろすスリングに掴まり、なんとか岩場に立つ。後は水をかぶりながら滝をのぼり3m滝もクリア。先回の単独行ではこの3m滝には出会うことはなかったので、これより先から沢に入ったのだろう。

釜をもつ小滝
小滝の釜は深い。パートナーは泳ぐが私は右を高巻き。この高巻き箇所は記憶にあるので、3m滝の上に「水利へ」の沢に入る踏み跡があったのだろう。この高巻き箇所が先回引き返すとき、スリップし釜に落ちたところのようだ。


再び淵。思うに先回の単独行はここで引き返したように思う。淵を泳ぎ左手の岩にかすかに残る「足がかり」に足を置き、なんとか岩場をクリアした。

海沢園地東屋
左から堰堤を持つ小沢が入る。先に進みナメ滝辺りまで進む。進みながら、このまま進めば最終目的地の海沢園地に出るのかどうか少々不安になる。右から小滝が注ぐのだが、それが井戸沢なのかどうかもはっきりしない(後からチェックするとどうも井戸沢だったようだ)。林道も見えないので、結局は堰堤をもつ小沢まazuで戻り、崖を這い上がり、なんとか林道に出る。 林道からは一応、海沢園地の東屋を確認すべく林道を上に進み東屋に。東屋脇に海沢が続いており、さきほど折り返すことなくそのまま進むと井戸沢から水を合わせた先に堰堤があり、その先は海沢園地の東屋脇の堰堤に続いていた。 東屋で着替えを済ませ、林道をJR奥多摩駅まで歩き本日の海沢遡上を終了。海沢は初心者には少々厳しいかとも思うが、トップとヘッドに経験者がつけばなんとか遡上できる、滝と釜の続く魅力的な沢であった。

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