それ以降、退任前の会社の沢仲間と毎年水根沢に入っているのだが、大雨の後水量が多くトイ状の滝のはるか手前で撤退し林道へと急登を這い上がったり、トイ状の滝まで進むも滝を落ちる水量が多く、また崖を下りようにも残置ロープがこころもとなく撤退と核心部をクリアできないでいた。
とはいうものの、沢筋を進むのは途中撤退ではあったが、初回で見つけることができなかった林道を所定のゴール地点まで進み、沢から林道への尾根筋のルートはその間に確認できた。初回に林道が見つからず引き返した少し先に林道があったわけだ。

そして2018年、沢仲間と水根沢に。2番目のゴルジュ帯にある2mの滝での2本の残置ロープを使ってのへつりで少々苦労するメンバーもいたが、なんとかクリア。深い釜をもつ4m滑滝部は泳ぐしかないと思っていたのだが、大きく高巻すればクリアできるルートがあった。
そして核心部のトイ状の滝部。ステミングで上るもの、10m崖を懸垂下降で下るもの、
トイ状の滝をステミングすることなく、途中で右岸の岩場を進むルートをみつけクリアするものと、ルート取りも各自各様に進み、所定のゴールまで進めた。沢ガールが核心部をクリアしたはじめての夏となった。
酷暑の折、Google Analyticsのアクセスランキングにも沢のメモが2本入っており、水根沢がユニークユーザー月間1万名ほどのこのブログのベストスリーに入っている。水根沢のメモは2015年にブログに掲載しているのだが、それ以降、2017年・2018年のメモも今回追加して以下、掲載することにした(2015年のブログも残しておく)。
2015年
6月末のとある日曜、朝起きると快晴。その1週間前の週末、沢ガールのガイドで秋川筋の大岳沢に入る予定であったが、雨で中止。その時の沢入りの準備ができていたので、どこかの沢に行こうと想う。どこに行こうか、ちょっと考え、水根沢に行くことにした。
有り難い申し出ではあるが、誠に申し訳ないので一度ならずお断りしたのだが、結局ご一緒することに。よほど心配にみえたのだろう。CSトイ状の滝から先はその方のリードで半円の滝まで進み、そこで遡行終了し、ふたりで林道に向かうことにした。
これで、本日の沢上りは終わり、と思ったのだが、林道が見つからない、踏み跡はいくつかあるのだが、すぐ行き止まり。結構上下し林道を探したのだが、わからず、結局沢を入渓点まで戻りましょう、ということになった。水根沢の林道は、林道と言うより鷹ノ巣山への登山道と言ったものであったようだ。 二条12mの滑状の大滝の辺りでは岩場を下る懸垂下降のロープが10mでは足りず、結構苦労したが、岩場では腹這いになり、ズルズルと足懸りを探しながらクリアするなど、はじめての本格的「沢下り」も楽しめた。
本日のルート;水根沢キャンプ場>入渓点>(最初のゴルジュ)>2mの小滝>CS3m滝>橋>二条CS滝>(二番目のゴルジュ帯)>2m滝>CS3m滝>小滝>4m滑滝>4m滑滝>CSトイ状の滝>2段12m滝>滑滝>山葵田>三番目のゴルジュ帯>6mトイ状半円の滝>遡上終了>林道が見つからない>(沢を下る)>2段12m滝>CSトイ状滝>小滝>水根バス停
水根沢キャンプ場

沢に沿って入渓点である、水根沢キャンプ場へと向かう。
水根キャンプ場とはいうものの、道に沿ってそれらしき建物はあるものの如何にもキャンプ場といった場所もなく、沢に沿った広場といった場所があったが、それが水根キャンプ場なのだろう、か。
ただ、そこは民家の私有地といった風で、入り口に車止めといったものがあり、民家の前を通るのも申し訳なく、道を先に進む。と、道端でお喋りを楽しんでいた集落の方が、沢に入るのは、この道を先に行けばいい、と教えてくれた。
入渓点:11時52分
◎最初のゴルジュ
●2mの小滝;11時56分●CS3m滝;11時58分
滝横の岩場まで進み、そのまま岩を這い上がる。水中から這い上がる岩場まで微妙な高さがあり少し難儀するが、それほど難しい箇所ではなかった。
因みに、CSとは「チョックストーン(chockstone)=岩の割れ目にがっちり挟まった岩」を意味する。
橋;12時2分
二条CS滝;12時7分
腰の深さの淵を進み、下の岩は簡単に登れたのだが、上の岩場に這い上がるに、手掛かり、足掛かりがない。撤退しようにも、下りるに下りられず、岩の右手の水流に足懸りをと思えども、昨日の雨の影響か水の流れが強くホールドする自信がない。
なんとか上の岩に這い上がろうと悪戦苦闘。水濡れを防ぐために着た雨具がつるつる滑り、岩場に張り付くもずり落ちる。結構苦労したがなんとか這い上がれた。多くの人は岩の右手の水流を上るようである。
◎二番目のゴルジュ帯
●CS3m滝;12時35分
そこからは水に胸辺りまで浸かり、滝の下まで進みるのを腰まで水に浸り右岸を上る。
声を掛けてもらう
滝上に上り下流を見るとひとりの男性が目に入った。そして、御一緒しませんか、との申し出。高巻でグズグズしている姿などを見るにみかね声をかけてくれたのだろう。沢はほどほど、ロッククライミングとかケービング(洞窟探検)を楽しんでいる方であった。
有難い申し出ではあるが、申し訳なく丁重にお断りするも、結局ご一緒することに。よほど心配してくれたのだろう。
●小滝;12時51分
釜のある4m滑滝
CSトイ状の滝;13時14分
一方私は、少々疲れ気味。ステミングで体を支える気合が足りない。ステミングをしないとすれば、右岸の急な崖を這い上がり、10mの垂直な崖を下りることになる。迷うことなく右岸に崖に取り付く。
崖を這い上がり、先端部にくると10mの垂直の崖。崖の先端には残置スリングと、そこから下にロープが垂れる。が、ロープは水面まで届いていない。「画龍点晴を欠く」と言った残置ロープである。
それではと、ロープを取り出し6ミリの10mロープを結び、スリングに通し、フリクション(摩擦)を保ち、かつロープの回収を容易にすべく6ミリ二本のロープを8環に通し、懸垂下降で10mの垂直な崖を下りる。ロープも10mでギリギリではあったが、無事崖を下りた。崖下でステミングで上ってきた男性と合流し先に進む。
2段12m滝;13時17分
滑滝;13時26分
山葵田;13時33分
◎三番目のゴルジュ帯
6mトイ状半円の滝;14時
遡上終了;14時5分
林道が見つからない:14時23分
ご一緒してくれた方も、記憶を頼りに林道を探すが、見つからない。で、結局、沢を下りましょう、ということになった。
家に帰り地形図を見ると、沢を分けた尾根と思ったのは、水根沢にグンと突き出した尾根であり、単に水根沢が突き出した尾根の岩壁をぐるりと回っているだけであった。場所は最終地点である半円トイ状の少し下流といった箇所であった。この尾根筋のため少々混乱したが、もう少し高いところまで登れば林道に出合っていのかとも思う。水根沢のレポに林道探しに苦労した、といったものは皆無である。皆さんは何の苦労もなく林道に登れているのだろうか。
◎沢を下る
●2段12m滝;14時58分
●CSトイ状滝;15時
●小滝;15時24分
●入渓点に:15時45分
水に濡れるのを避けるため、極力高巻で、といった「計画」も下りのトイ状の滝での滝壺にドボンのため、結局全身ずぶ濡れになりながらも、なんとか入渓点まで戻る。そこはスタート時点では遠慮した民家前を通るアプローチ地点ではあった。
水根バス停;16時10分
今回の沢は反省点ばかり。単独行でありながら、地図もGPSも持たず遡行図だけて沢に入り、撤退や復路の林道は沢に沿って直ぐに見つかると高を括っていた。偶々この方が親切にご一緒して頂いたから良かったものの、独りだったら、倉沢とか海沢の林道と言った大きな「林道」を探して山中を彷徨っていたかとも思う。
結構沢をこなし、沢登りを結構こなし、ちょっと半端な余裕をもちはじめていたのだろう。初心に戻るべし、との思いをかみしめた水根沢遡行となった。
後日談(二回目)
7月の中旬、酷暑の都心を離れて元会社の仲間と水根沢に入った。当日はピーカン。これは水を存分に楽しめるだろうと入渓点に。が、前回と同じ個所で着替えをしている時に沢から聞こえる水の音が半端ではない。轟轟たる水音である。快晴ではあるが、この水音を聞き、防水雨具を上から着込み入渓点に。 思った以上に強烈な水勢である。
第一のゴルジュ帯
○2m小滝
○CS3mの滝
第二のゴルジュ帯
○2m滝
○CS3m
○4m滑滝
登山道に這い上がる
登山道
それにしても、強烈な水勢であった。数日前まで何日か降り続いた雨の影響が、これほどまで残っているとは想像もできなかった。しかし、誠に面白い沢登りの一日であった。
水根沢再々訪(三回目)

入渓点上の登山道と思っていた道は、先回の途中撤退で這い上がった登山道の下り口とは異なっており、沢遡上の途中で出合った橋に続く道のようではあった。
それはともあれ、入渓点上の道で入渓準備をしながら耳を澄まして聞く沢の水音は轟々と響いていた先回とは異なり、静かな響き。一安心し入渓点に下りる。
入渓
先回の大水の後の沢入りは、入渓早々に左岸の「へつり」でしか進めなかった箇所も、今回は水線上をのんびり進む。
CS3m滝
長時間水に浸かり体力消耗を避けるため、結局ロープを出し、ハーネスのカラビナに固定し、引き上げることにした。岩場には残置スリングが吊り下がっていたが、位置が高く水中からの手掛かりとはなり得なかった。
CS2条の滝
2番目のゴルジュ帯
2m滝
CS3m滝
釜のある4mナメ滝
沢ガールには、ハーネスのカラビナにロープを固定し、水中を引っ張り、最短時間でナメ岩下に取り付き、ナメの岩場を這い上がる。
CSトイ状の滝
先回は岩に掛けられた残置スリングにロープを通し、懸垂下降で垂直の岩場を下りたのだが、よくよく見ると残置スリングが心もとない。またスリングを支える突き出た岩場も、なんとなく「ひ弱」な感じ。スリングもそれを支える岩も、見れば見るほど少々怖くなり、結局懸垂下降は危険と判断。釜を泳ぐ気持にはならないため、今回はここで左岸高巻きすることに決定し、水線に戻る.。
登山道に這い上がる
また、最初の水根沢遡上で登山道が見つからず、沢を入渓点まで戻るため、支尾根の左手を成り行きで下ると2段12mのナメ滝上に出たのだが、その時の印象ではトラバースできるような斜面ではなく、結局2段12mのナメ滝へと下りざるを得なかったわけで、トイ状の大滝を高巻きしても、とても沢に復帰できるような斜面でなかったことが頭に残っていたのも、登山道へと一直線に這い上がることにした理由でもある。
急登に難儀する沢ガールにはハーネスのカラビナにロープを結び、斜面の立木を支点に安全を確保しながら崖を這い上がる。結局は高巻き、というより登山道までエスケープした、といったほうがいいだろう。30分ほどかけて登山道に這い上がった。
登山道を支尾根に
登山道を進むと、左手に支尾根が見える。道脇の過ぎに白のペンキが塗られていた箇所から支尾根に下りる道がある。支尾根への斜面を下り、平坦な支尾根上の踏み跡を進み、沢に下りる箇所を探す。
支尾根を進むと尾根筋を切り開いた箇所があり、そこから支尾根の右手を沢に下りる。これで半円の滝で終了した後の、登山道への道が繋がった。最初の沢入りで、登山道が見つからず沢を入渓点まで戻ったときは、この尾根の左手を成り行きで下り、トイ状滝の上にああttる2段12mの上に出たわけである。
半円の滝
むかし道休憩所
先回の大水の後の水根沢を訪れ、途中撤退し登山道を下ってきたとき、登山道を舗装された道に下りきったところから少し先に進み。左手の沢側に入ったところに「むかし道休憩所」があった。まことに立派な施設でお手洗いもあるし、着替えもできる。今回も、休憩所までは沢スタイルで下り、ここでゆったりと着替えすることができた。水根沢の着替えはこの休憩所を使わせてもらうのがいいかと思い、メモをする。
2017年
CSトイ状の滝をクリアし、所定のゴールに。帰路も間違うことなく林道を戻る
2017年には、娘の旦那と水根沢に。行く前は偉そうなことを言ってはいたのだが、実際は沢デビューの娘の旦那に助けられっぱなし。
CS3Mの滝
もっとも、身軽な若者はテーブル状の岩場を囲む岩壁に手懸り・足懸りを見つけて軽々と上っていた。
娘の旦那は身長も高く、元陸上部の腕力で、これも軽々とテーブル状の岩場に這い上がっていった。
CSトイ状の滝

私は膝を痛めており、トイ状滝をステミング(蟹の横ばい)で進むことはできなかったのだが、娘の旦那は軽々とステミングでトイ状の滝を登っていった。
2段12mの滝
6mトイ状半円の滝を越えた先の所定のゴールをクリア。トイ状の滝部を水線を上るルートでの初めてのゴール
2018年8月
沢ガールとのメンバーではじめてトイ状の滝をクリアし、所定のゴールへ
退任前の会社の沢・山仲間とその知人のスコットランドの若者、更に娘の旦那の7人のパーティ。沢仲間のメンバーではじめてトイ状の滝部をクリアし、所定のゴールに進めたはじめての夏となった。
因みに、沢登りを英語でどういうのか、適当な訳が辞書では見つけることはできなかったのだが、スコットランドの若者はGorge walkingと言っていた。なんとなくニュアンスが伝わる訳語だ。
CS3mの滝
二条CS滝
腰の深さの淵を進み、下の岩は簡単に登れるのだが、上の岩場に這い上がるのが結構大変なところ。今回は左岸の岩場に手懸り・足懸りを見つけクリアした。
水線を進み中央の大岩に取りついたメンバーは、上のフラットな大岩に這い上がるのに苦労していた。左の岩場をへつるのがいいかと思う。
二番目のゴルジュ帯の2m滝
深い釜をもつ4m滑滝
CSトイ状の滝

CSトイ状の滝をクリアすれば2段10mの滝はあるものの、あとはそれほど困難な箇所もない。6mトイ状半円の滝を越えた先の所定のゴールをクリア。沢ガールとのメンバーではじめて所定のゴールまで辿ることができた。