で、選んだのが秋川水系・熊倉沢左俣東沢。通常であれば、源頭部まで登り、熊倉山へと這い上がり、笹尾根・浅間峠をたどり上川乗バス停まで下るか、笹尾根の途中から熊倉沢左俣西沢に降りて沢を下降して東沢合流点付近に戻るようだが、今回は懸垂下降・崖下りのトレーニング。尾根に這い上がる奥の二股手前で沢を引き返すことにした。
トレーニングにお付き合い願うのもなんだかなあ、とは思いながら沢仲間に連絡するとベテランのTさんと、8環を使った懸垂下降をこの夏にマスターしたいとのS嬢も参加してくれるとのこと。数年前、その名に惹かれ娘と沢上りを楽しんだ月夜見川以来の秋川筋の沢に4人のパーティで出かけることにした。
本日のルート;五日市線・武蔵五日市駅>南郷バス停>矢沢林道>落合橋>熊倉沢林道>>熊倉沢右俣・左俣分岐点>作業道>入渓点(作業道3番目の木橋)
■往路
東沢・西沢出合い>4m滝>2段2m滝>2段?m滝>5m滝
■復路
5m滝>2段?m滝>東沢・西沢出合い>西沢・作業道4番目の木橋>作業道>熊倉沢林道>落合橋>矢沢林道>南郷バス停
武蔵五日市駅発;9時
集合場所はJR五日市線の終点・武蔵五日市駅。熊倉沢左俣東沢の最寄りのバス停・南郷は数馬行のバスに乗る。時刻標をチェックすると8時代はなく、午前9時、その次は10時35分。9時発のバスに乗る予定とし、8時50分バス停集合とする。 ホリデー快速が8時48分に着く(2018年9月休日時刻表)
南郷バス停;9時32分着
武蔵五日市駅から30分強走り、南秋川筋の南郷バス停に到着。乗客は数馬行が大半のよう。この駅で降りたのは我々のパーティだけであった。
矢沢林道
バス停から南に下る坂道があり、そこを下り切ると、南郷バス停手前で都道33号から分かれ南秋川に沿って進む矢沢林道に当たる。林道は直ぐに南秋川に架かる橋を渡り、南秋川に注ぐ矢沢に沿って南に進む。
落合橋で熊倉沢林道に入る;9時40分
矢沢林道を10分強歩くと落合橋がある。その名の通り、この地が矢沢と熊倉沢の落ち合うところ。矢沢林道は落合橋を渡り道なりに進むが、熊倉沢林道は橋の手前で右に折れる。
矢沢林道方面も「工事用作業出入口」「作業中」の立て看板と車止めのA型バリケード、また熊倉沢林道も「民有地林道」であるとの案内とともに、A型バリケードで車止めとなっている。A型バリケードの脇を熊倉沢林道に入る。
熊倉沢林道の熊倉沢右俣・左俣分岐点;10時10分
熊倉沢に沿って大よそ30分ほど歩くと熊倉沢右俣と左俣の分岐点に。道の左手に作業道に入る踏み跡がある。立ち木にも赤いリボンが括られている。またその先、熊倉沢の右岸に渡る木橋も見える。この踏み跡から作業道に入る。
作業道3番目の木橋:10時20分
作業道を沢に下りるとすぐに最初の木橋がある。熊倉沢右俣からの流れを跨ぎ熊倉沢左俣の右岸に渡る。橋を渡るとほどなく熊倉沢左俣に架かる木橋があり右岸渡る。熊倉沢林道から見えて木橋がこれだろう。木橋は雨の翌日でもあり滑りやすく、慎重に歩を進める。
右岸に渡った仕事道を10分弱歩くと3番目の木橋が現れ、熊倉沢左俣の左岸に渡ることになる。木橋を渡った先は山に向かって少し上り坂となっている。沢から離れる?ガイドブックには四番目の橋が入渓の目安として記されているのだが、この3番目の橋は中程にある岩を境に二つに分かれている。そこが4番目の橋?少々混乱。結局この3番目の橋から入渓することにした。
補足;復路、熊倉沢左俣西沢に少し入ってみたが、そこに4番目の橋があった。3番目の橋を渡り坂道を少し登ったところである。 入渓は3番目でも4番目でも構わない。3番目から入れば熊倉沢左俣東沢に直接入り、4番目から入れば熊倉沢左俣西沢に入り西沢・東沢出合いに少し下り熊倉沢左俣東沢に入ることになる。
入渓;10時40分
3番目の橋から沢に入り、スペースを見付けて入渓準備。スペースがあまりなく、入渓準備は、熊倉沢林道の熊倉沢右俣・左俣分岐点から作業道に入る辺りでするのがいいかと思う。特に雨の後など、木橋が滑り結構危ない。復路は作業道から熊倉沢林道に戻り終えて着替えをしたのだが、沢靴は木橋で滑ることもなく安全に渡れた。 のんびりと準備し10時40分頃入渓する。
東沢・西沢出合い;10時43分
滑っぽい沢を少し進むと右手から熊倉沢左俣西沢が合流する。東沢・西沢出合いを少し西沢に入ったところに2mの小滝も垣間見える。
今回は熊倉沢左俣東沢を登ったが、直前まで熊倉沢左俣西沢にしようか、熊倉沢左俣東沢にしようか少々迷っていた。東沢には2段?mや5m滝があり、懸垂下降の練習にはいいと思うのだが、支柱になる適当な木があるかな?そもそも、初回から10m級崖の下降トレーニングって如何なものか?などとあれこれ思い、小滝の多い熊倉沢左俣西沢からはじめ、適当なところで折り返し熊倉沢左俣東沢に入るのはどうかな?などと思った次第。 結局は、その場の成り行きで困難度の高そうな熊倉沢左俣東沢に決め、出合いを熊倉沢左俣東沢へとルートをとる。
4m滝;10時46分
出合いのすぐ先に4m滝がある。傾斜もそれほど急でもなく、また岩場に適当なホールドがあり、水線直登もできそうだが、当日は少し気温が低かったこともあり左岸側の滝端を這い上がった。
2段2m滝;10時55分
10分ほど歩くと滑状の小滝に出合う。長さは4mほどはあるだろう。ガイドブックにある2段2mの滝かもしれない。この辺りの渓相は美しい。ガイドブックでチェックする段階では渓相は倒木の多い、ちょっと荒れたイメージであったのだが、予想に反して美しい沢であった。
2段15滝;11時5分
2段2m滝から10分、今回の核心部である2段?m滝が現れる。娘の旦那が水線中央突破を試みるが、途中で適当なホールドがなくフリーズ。下ることは危険のためそのまま待機指示。
Tさんが滝の右側端に取り付き1段目の滝をクリア。セルフビレイで自身の安全を確保した後、ロープを下し娘の旦那のハーネス・カラビナと結び、娘の旦那は滝を上り切った。 私は雨の翌日で、ズブズブの右岸を高巻きし滝上に。S嬢にはロープを下し安全確保しズブズブの右岸を上ってもらった。
ここで結構時間をとり全員が滝上に揃ったのは10時35分を過ぎていた。
5m滝;11時45分
ついで本日の最終ポイントとした5mの滝。滝の左手の岩場は急ではあるが、適当なホールドがあり、岩場を這い上がることができた。S嬢には安全確保のロープを結び、岩場を上ってもらった。
上りはここまで。少し休憩し、懸垂下降の練習をしながら、今来たルートを下降することにする。
下降
5m滝を懸垂下降;12時10分‐12時30分
5m滝を懸垂下降で下りる。全員がハーネス、8環、カラビナを装備済み。ロープはTさんの8㎜ x 30mを使うことに。理由は娘の旦那のガタイがよく、私の6㎜ x 10m 二本繋ぎでは少々こころもとないことと、崖の長さ。
滝自体は5mなのだが、滝上に支柱になる立木がなく、滝の左手上にある立木にロープを回すと、滝の右岸に屹立する崖下まで?mのロープで丁度くらいの長さになった。 立木に結んだスリングとハーネスをカラビナで結び、セルフビレイで自身の安全確保をし、8環にロープを通し、崖下に落としたロープを右手で軽く握り、セルフビレイのスリングを外すように指示。
右手のロープは絶対離さないこと、ロープを引っ張っておればテンション・フリクションがかかり止まり、緩めると下降する、という基本を教え即本番に。
最初に私が下り、懸垂下降はじめてのふたりが続き、最後にTさんが下りた。はじめてのふたりは、最初体を崖から離すときは少し不安そうな腰つきが下から見て取れたが、特に怖がることもなく、軽々と下りてきた。
2段15m滝の懸垂下降;12時45分‐12時55分
こちらの滝も同じく滝上に適当な立木がない。唯一滝の落ち口に大きめの岩があり、その岩の底部にロープを回せば滝の水線を下りることはできそうだが、それもなんとなく心もとない。
結局滝の左岸を高巻した、雨水を含みズブズブの急斜面の上に適当な立木があり、そこを支柱に懸垂下降で下りることにした。ロープの長さが心配だったが、?mでギリギリ崖下まで届き、2段階に分けることなく一回で下り切ることができた。 5m滝の懸垂下降が10m以上の垂直な崖を下りることになったため、急斜面ではあるが所詮斜面ということで、懸垂下降はじめてのふたりも軽く舞い降りた。
東沢・西沢出合い;13時40分
2段?m滝を下り、1時頃遅めの昼食。武蔵五日市行のバスは南郷バス停を15時11分に出る。時間はゆったりある。
のんびり休憩し、足元に気をつけながら小滝を下りて東沢・西沢出合いに。西沢に2m滝が見える。結構美しい。滑状に流れる小滝を上る。
作業道の4番目の木橋;13時45分
西沢の小滝を登った先に木橋が見える。これがガイドブックにあった前述4番目の木橋であろう。先には3段の小滝もあるようで、少々惹かれるが、先回の川乗水系逆川の沢登りで私が足を引っ張りバスに乗り遅れるという為体(ていたらく)であったこともあり、木橋から作業道を熊倉沢林道に戻ることにした。
熊倉沢林道;14時
作業道を戻り熊倉沢林道の熊倉沢右俣・左俣分岐点に戻る。右俣に沿って続く林道を少し上り、適当な場所をみつけ着替えを済ませ熊倉沢林道を戻る。
落合橋;14時34分
矢沢との合流点である落合橋に。往路は気づかなかったのだが、沢は落合橋の下流でも結構美しい渓相をしていた。
南郷バス停;14時45分
15時前に南郷バス停に到着。15時11分発のバスを、余裕をもって迎え武蔵五日市駅に戻り本日の散歩を終える。
熊倉沢左俣東沢の所感
●バリエーションルートとして、笹尾根の途中から熊倉沢左俣西沢に降りて沢を下降して東沢合流点付近に戻る。
●今回は懸垂下降の練習ということで、尾根に這い上がることなく奥の二俣手前の5m滝をピストンで上り・下りした。
●入渓から5m滝までの遡行時間が1時間ほど。適当な距離・時間である。 ●5m滝は適当な立木がなく滝の水線を下りることはできず、10m級の崖を懸垂下降することになる。懸垂下降の練習には丁度いいかもしれない。
●また2段?m滝も滝上に適当な立木がなく、これは崖ではないが急な斜面を懸垂下降で下りることになる。上記5m滝の垂直な崖の懸垂下降が負担に感じる人には、こちらの斜面で懸垂下降の練習ができる。
●只、斜面の長さが10m ほどあり、今回は仲間が30mのロープを持っていたので一気に下りることができたが、その長さのロープを持たない場合は、中間点の「踊り場」に下り、次いで川床へといった2段階で下りることになるだろう。
●懸垂下降や滝上りのトレーニングの沢としては時間もちょうどいい。
●2段?mも5m滝も滝を上れなければ巻くことができる。
●渓相は予想ではあまり期待していなかったのだが、結構美しい沢であった(奥の二俣より先は少し荒れているようではある)。
●今回は懸垂下降の練習が目的であったので途中で引き返したが、いつか源流まで登り、熊倉山へと這い上がり、笹尾根の途中から熊倉沢左俣西沢に降りて沢を下降して東沢合流点付近に戻る、という標準&バリエーション組み合わせルートを辿ってみたいと思う。
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