秩父散歩;秋の紅葉_4
なかなか、絢爛たる紅葉に出会わない。インターネットで紅葉狩り情報など調べ、関東近辺で「今を盛りに」を探す。「秩父・長瀞は今が満開と」。どう考えても遠い。とは思うが、行かずばなるまい。ということで、家を出る。とりあえず西武・秩父線に乗ればいいか、といったお気楽さ。
西武池袋駅着。12時頃。特急の指定は1時過ぎまで売り切れのよう。仕方なし。行き当たりばったりで、電車を乗り継ぎ進むことに。
タイミング悪く、所沢行き。所沢から飯能行きと乗り継ぐことに。準急で池袋から飯能までおよそ1時間。乗り換えがあったので1時間以上かかったよう。飯能で秩父行特急レッドアローに。芦ヶ久保、横瀬を通り秩父までおよそ40分。いやはや遠い。
飯能で列車はスイッチバック、というか後先逆になる。東飯能を過ぎ、高麗のあたりから山間いをうねるように国道299号線、高麗川に沿って進む。ところどころ紅葉が。吾野、西吾野を越えると正丸峠。昨年だったか、「棒の折山」に登ったとき、登山口の名栗湖の先に「正丸峠」という名前。その向こうは一体どこに続くのだろう、と結構気になっていた地名。正丸の名前の由来は、親を背負ってこの峠道歩いた孝行息子の名前が「正丸」君だったとか。
トンネルをくぐる。正丸峠を抜け、芦ヶ久保、横瀬を通り終点、西武秩父駅に。秩父着13時47分。
秩父鉄道・御花畑駅
長瀞へは秩父鉄道に乗り換えなければ。ということで、駅に続くお土産店のアーケイドを通り抜け、秩父鉄道・御花畑駅に。駅のプラットフォームから異様な山塊が。山肌が白く削られている。秩父と言えば秩父セメント、ということで、セメントの原料になる石灰岩の採掘跡と勝手に思った。これは正しかった。石灰石岩の採掘により、峯がひとつ消え去った。標高も1,336mから1,295mとなっている、と。
この山、秩父鉄道の三峰行き方向に見えていたので、勝手に三峰山だと思っていた。これは間違いだった。山の名は武甲山。三峰はもっと西。もっとも三峰山という山はない。三峰神社の裏に聳える妙法山(1,329m)、白石山(1,921m)、雲取山(2,017m)の三つの山を指して三峰と言う。はじめて知った。
この三峰山一帯は、詩人野口雨情が、「朝にゃ朝霧、夕にゃ狭霧、秩父三峰霧の中」とうたっている。霧の多いところなのだろう。春は桜、秋は紅葉が美しい、とか。
黒谷
御花畑駅発14時18分。御花畑>秩父>大野原>黒谷(くろや)>南野(みなの)>(おやはな)>上長瀞、と進み、長瀞着14時40分。いやはや遠い。3時近くになってしまった。ちなみに黒谷、日本ではじめて銅鉱脈が発見されたところ。ここで日本最初の銅貨、和銅開宝がつくられるまでは、中国や朝鮮の銅貨が使われていた。この慶事に年号を和銅と改元したほど。とはいえ、最近、和銅開宝よりもっと古い銅貨が見つかった、とかいったニュースを見たような気もするが。。。
長瀞
長瀞駅前は結構混雑。紅葉見物のご同輩なのだろう。最初、川の反対側、白くて大きな長瀞の目印といった白大鳥居のある方向に歩く。宝登山神社の参堂。頂上からの眺めはいいようなのだが、如何せん時間がない。のんびりしていると日が暮れる。
ということで、荒川筋に向う。駅から荒川まではすごい混雑。お土産屋をひやかしていると、田舎まんじゅうが。炭酸まんじゅう、とも書いてある。昨年、棒の折山・登山のとき、名栗湖畔の休憩所で食べた田舎まんじゅうの味が忘れられなかった。子供のころ田舎でおばあさんがつくってくれた「膨らまし粉」を入れた柏餅、というか柏まんじゅうの味だった。名栗湖のもとの同じ味を期待し、お買い上げ。期待どおりの味だった。ちなみにお土産に持って帰ると娘が結構喜んでくれて、また満足。
岩畳
饅頭の話はさておき、長瀞といえば、といった岩畳に。隆起した結晶片岩が文字どおり岩の畳となって広がる。長瀞下りの川船も数多い。川向こうには紅葉が。色鮮やかってほどでなない。
川筋に沿って歩く。県立自然史博物館に。秩父は秩父中・古生層から新生代までの変化に富んだ地層に恵まれた地質の宝庫。近代地質学発祥の地。小さい頃から鉱物・植物・昆虫などに特別の興味を示しており、とくに鉱物が好きで「石コ賢さん」と呼ばれた宮沢賢治が大正五年、盛岡高等農林学校二年生、二〇歳の時、この地に地質調査に来ている。博物館近くの紅葉は素晴らしかった。今年初めて、紅葉らしい紅葉見物をした感じ。大いに満足。
親鼻橋
日暮れが近い。先を急ぐ。上長瀞駅近くを荒川に沿って歩く。秩父鉄道と交差。結構立派な鉄橋。鉄橋をくぐり県道と交差。左折し道なりに行けば親鼻橋。橋を渡れば紅簾片岩の露頭、紅簾片岩があるようなのだが、県道を車に気をつかいながら歩くのは勘弁してほしい、ということで交差点を直進。山裾の道を選ぶ。
南野駅
金崎地区を進む。荒川からだいぶ離れる。山に近づく。山に向って道が続いている。川筋に沿って道があるようなので、車道から離れ川に沿って歩く。先に橋が見える。少し安心。栗谷瀬橋。歩道と車道が分かれた橋。歩道専用橋を渡り、道なりに進み南野駅に。日没。時間切れ。
南野駅から西武直通の電車に乗り、一路家路に。直通電車は西武秩父をパスし御花畑から直接横瀬に出て池袋まで。今回はほとんど歩けなかった。が、今年最高の紅葉見物が楽しめた。ヨシとしよう。
「秩父地方は、荒川の上流に、武蔵の国より古くから開けた地方。古代の国造(くにのみやっこ)制の時代には、秩父の国造や埼玉(さきたま)の名でいわれる国造族が、荒川流域に古墳をつくって、現代まで高塚文化といわれる諸古墳を残している。
秩父は南の武蔵野とちがい、山地で囲まれた盆地地帯で、河段段丘や関東山地の中にひとつの特色ある文化を育てて、武蔵野の他の地域とは違ったものをつくりあげている。
秩父への入口は、荒川の玉淀や寄居からであるが、名栗の入口である飯能から旧秩父脇往還で山伏峠や妻坂峠を越えて、秩父と武蔵野の村里を連絡した古道が開かれていた。このように、秩父は他の地区と接するには、峠路を越えるが、荒川を下るところだけが自然に開かれてる。。。」。今日たまたま神田の古本屋で見つけた『武蔵野 古寺と古城と泉;桜井正信;有峯書店』の秩父の描写。気に入ったのでメモする。
で、前々から、秩父ってどんなところだろう、と想っていた。もっと山の中だろうと想っていた。実際は、予想以上に広い盆地だった。北の方に荒川が流れ出る盆地の開口部があるなどと想像もしていなかった。カシミール3Dでも盆地>荒川>開口部>寄居の地形ははっきりわかる。また、最近Google earthをダウンロードして楽しんでいる。飛行機に乗ったつもりで秩父上空を飛び回っている。いやはやすごいソフトが登場したものだ。
本日のルート;長瀞>上長瀞>秩父鉄道をくぐり>国道と交差>紅簾片岩>長興寺>金崎>栗谷瀬橋>南野
0 件のコメント:
コメントを投稿