入渓地点はバス停から林道を40分程度歩かなければならないのだが、入渓地点直ぐにある「大滝」は別格として、難しそうな滝もなく、沢に沿って馬頭刈尾根への登山道が続いておりエスケープも簡単そう。唯一のややこしそうなことは、入渓地点付近で幾つかの沢が合流しており、本流から迷いそう、といったことくらいである。
で、結果は予想通り。入渓早々に枝沢に迷い込み、途中で引き返す。滝は難しいものは何もなく、苔むした美しい渓谷で一日沢登り、というか水遊びを楽しんだ。
同行者は現在、非常勤勤務の常勤役員(?)をしている某社のOさん。昨年倉沢に案内して以来、二度目の沢登りである。
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本日のルート;武蔵五日市駅>大岳鍾乳洞入口バス停>林道終点>入渓>大滝>登山道の記橋とクロス>苔むした美しい渓相>沢が二股に分かれる>道標>登山道を下山し林道へ
大岳鍾乳洞入口バス停:10時6分(358m)
あれこれチェックすると、遡行時間は2時間もあれば十分とのことであるので、出発時間も少し遅め。武蔵五日市駅9時35分発上養沢行のバスに乗る。停留所は大岳鍾乳洞入口バス停で下りる。
林道を終点まで歩く:11時(標高567m)
バス停の道を隔てた先にある養沢神社に手を合わせ、大岳沢に沿って林道を進む。途中にはキャンプ場、大岳鍾乳洞などがあり、多くの家族連れが車で来ている。林道を歩くことおおよそ40分、林道が切れる。そこから先は馬頭刈尾根へ登る登山道となっており、入渓地点も此の辺りからである。数台の駐車スペースもあった。
最初地図を見た時は、大岳鍾乳洞入口バス停から大岳沢が続いているので、沢相次第では途中から入渓しようとも思ったのだが、それといった沢相でもなく、キャンプ場で水遊びを楽しむ家族の前を大層な格好で「登場」し、少々恥ずかしい想いをした裏高尾の小下沢二の舞にならず、林道最後まで歩いてよかった、と。
入渓;11時21分(標569m)
林道終点から先は、広い道は消え登山道となる。終点部分から先に進むと直ぐに木橋がある。入渓準備を木橋手前で行う。同行のOさんはヘルメットに沢靴を用意してきた。昨年の沢初体験ではマリンシューズでの登場であったが、さすがにつるつる滑る思いは勘弁と、沢靴を用意した、と言う。
入渓早々枝沢に迷い込む
木橋を渡った所から入渓。穏やかな沢相の中を進むと、ほどなく二股に。事前に地図で確認すると、本流右手から結構大きな沢が合わさっていたので、左手に入る。
小さな滝もなく、渓流といった沢を進むが、地図で確認した左から合わさる沢がいつまでたっても登場しない。それでも、もう少し、と先に進むと沢沿いの道を家族連れが下りてきた。大滝を見物に行ったのだろうと「この先に大きな滝はありましたか?」と聞くが、「大きいといえば大きい、といった滝はあった」との返事。「大滝」といった印象ではないのだが、もう少し進むと、10m弱の滑気味の滝があった。家族が見た滝はこれだろう。どうも大滝に進んでるように思えないようだ。
撤退;11時41分(605m)
ということで、地図を確認。今回は線専用GPS 端末でがなく、iphoneの無料アプリであるYAMAP(アプリ内課金はあるようだ)のテスト使用。前もって目的の山を選択すればその周辺の山地図がダウンロードできる。今回は「大岳山」のピンをクリックし無量地図をダウンロード。こうしておけば電波の通じないところでも地図の閲覧と現在地が表示される。山地図には登山道のルートが表示され、登山・下山の標準時稀庵も記入されている。
で、YAMAPで現在地を確認。大滝のある大岳沢本流から逸れ、枝沢にはいっていた。撤退決定。幸い沢に沿って下る踏み跡があったので、沢を下ることなく二股の箇所に戻る。そこには「(左)大岳鍾乳洞 上養沢2.9km (右)大瀧0.1km 馬頭刈尾根1.7km」の標識があった。本流は左ではなく右に進まなければいけなかった。
大滝に向かう;11時47分(標高583m)
思うに、木橋を渡り入渓して直ぐ、右手から合流する沢を見逃したのだろう。とはいいながら、合流する沢が合ったようにも思えなかったのだが。ちょっと狐につままれたようではあった。
気を取り直し、大岳沢の沢登りスタート。標識に拠れば大滝までは100m。小滝の先に木橋を見ながら水線の中を進むと大滝が登場した。
大滝;11時55分(標高613m)
大滝は迫力ある。滝壺手前でも飛翔する霧状の水が心地よい。ぱっと見た目でも30m以上ありそうな一枚岩の大きな滝である。滝壺に足を踏み入れ、マイナスイオンを堪能するOさん。
で、この滝はとてもではないが上れそうにない。左岸を登山道が巻く、とのことであるので、滝壺辺りから少し這い上がって登山道を探すが、見つからない。即撤退し、滝手前にある木橋を渡り、登山道を進み滝を巻くことにする。 道は滝から離れて大きく巻いていた。滝壺から這い上がらず正解であった。ぐるりと高巻きする登山道を上り切ると木の桟道があり、そこが滝上。滝の落ち口を見に沢に入り、怖々滝上からの眺めを楽しむ。
登山道の木橋
滝上の開けた渓流から沢登りスタート。単独の小滝や数段に分かれた小滝など、水線を簡単に上れる滝が続く。少し倒木で沢が荒れた先に木橋が見える。木橋に向かって水線を進み、木橋を越える。エスケープに備えて、登山道が沢のどちら側に進むのか要注意。登山道はしっかりとした踏み跡はあるものの、細い道である。木橋は2度沢をクロスした。
苔むした美しい渓相
木橋の先も程よい小滝が続く。ちょっとトイ状っぽいの滝では、必要もないのにステミング(蟹の横ばい状態で上り下りする)の真似ごとを楽しむ。 その先には苔むした大岩の美しい渓相。大岩の両側から下る水線を登る。沢靴を揃えたOさんも、靴のグリップ力に満足気である。
大岩の先にも数段に分かれた岩を下る滝が美しい。水線中央を進んでも岩が滑ることもなく、誠に楽しむ沢を楽しめる。
二股に分かれる;13時10分7(標高745m)
数段に分かれた滝を越え先に進むと、沢がふたつに分かれる。どちらが本流かわからない。左手に入るとほどなく沢が細くなる。藪漕ぎし右手の沢に戻る。登山道もあり、こちらが本流のようではあるがはっきりしない。
木標;13時33分
登山道に木の道標があり、「(左)馬頭刈尾根1.0km 馬頭刈山4.9km (右)大瀧0.6km 大岳鍾乳洞1.8km」とあった。この登山道に沿って沢があるのかと登山道を上るが、沢から結構離れてゆく。 遡行資料など見ると、この上部にも一つ登山道の木標がある(「(右)大瀧0 大岳鍾乳洞 (左)大馬頭刈尾根馬頭刈山 大岳山)ようであり、そこを目安に遡行終了する方も多いようである。
下山
時間も知らず1時半に近い。2時56分のバスに乗り遅れると、4時36分までバスはない。林道からバス停まで40分、現在地から林道まで20分程度だろうか。着替えなどを考え、ここで撤収とする。 入渓点での枝沢に迷い込んだためか、遡行案内にある一応の最終地点である登山道が大岳沢に合わさる地点には到達しなかったが、美しい渓谷美を堪能でき結構満足し、登山道を林道まで戻り、本日の沢登りを終えル。
大岳沢の所感
1.初心者にお勧めの沢
はじめて沢遊びにはお勧めの沢である。苔むした沢相も美しく、ないより難しい滝は何も無い。水線のど真ん中を登って、シャワークライムを危険無く楽しめる。ロープもスリングもなにも必要ない。
初心者向けの沢では裏高尾の小下沢、南秋川の月夜見沢などが想い浮かぶが、小下沢は沢上りというより水遊び、月夜見沢も小下沢ほどではないが、それでも基本沢登り、というほどでなない。それに比べてこの沢は渓流美や巨大な岩から流れ落ちる滝、それも難しい滝はなにもないのが、いい。それなりに沢登りの雰囲気も楽しめる。
2.沢に沿って登山道があるのも安心
沢に沿って馬頭刈尾根への登山道があるので、適当なところで切り上げることができる。沢と登山道との比高差もあまりないのもエスケープには重要である。先日、大雨の後水根沢に入ったのだが、水勢に押され、滝を直登できず、とは言え、ゴルジュの岩壁を進むこともできず、結局撤退決定。が、沢から登山道までの比高差は90mほどもあり、エスケープとは言いながら、急な崖を這い上がるのに難儀したが、この沢はそんな心配はない。
3.入渓点は大滝を越えた先がいいかと思う
今回、はじめから結構気にしていたにもかかわらず、入渓点で右から合わさる沢を見落とし、結果、想定した合流沢がひとつ抜け落ち、次に合流する枝沢で本流を逆に進み枝沢に入り込んだ。
結論から言えば、入渓点は大滝を越えた先からでもいいかと思う。入渓点から100mもすれば大滝に阻まれ、それまで面白い滝が有るわけでもないので、登山道を進み大瀧を見物し、その先から入渓すればいい。注意していたのに、それでも枝沢に入ったわけであるので、お気楽に進んでいると枝沢に迷い込む可能性は大きい、かと思う。
といったことが、大岳沢の所感である。林道を40分ほど歩くのだけが「我慢」してもらえば、はじめて沢に入る人にはお勧めである。いままで、はじめての人は倉沢に決めていたのだが、選択肢がひとつ増えた。
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